空想シンクパレット

空想上の街歩く
気取った私はただひとり
時の明け暮れ見るに見かねて
その街角の灯りを消した
灯りの下では読書の少女
光が消えるとつぶやいた
暗闇の中でつぶやいた

「あなたの描いた世界の中で、
生きてた人に謝りなさい。
あなたのところで足を休めて、
喜ぶ人こそ愛しなさい。
ここはどこなの、私は誰なの。
あなたしか知らない物語の中で、
生かされ、本を読んできた私は何なの。
灯りを消すならもう点けないでちょうだい。
あなたがふと改まって、灯りを点し続けるのなら、
今度こそ最後まで描いてちょうだい。
私は本を読んでいるのよ。
あなたの本を読んでいるのよ」

そうして私はただひとり
灯りを再び点しては
空想上の街にいる
ひとりの少女を観察してた
彼女が読むのをやめたなら
この明け暮れもなくなるだろう

私は彼女に新たな名前と
新たな本を手渡した

「続きの話しがあるんだ」
彼女に伝えてみたところ
喜びのあまりその少女は
私を抱きしめ大声で泣いた

そこで私は眠りから覚め
汗でぐっしょり濡れてる布団を剥いだ
ぁあ、まただ、名前を聴き忘れたじゃないか
名前さえわかれば、インターネットで調べるなり
辞書から意味を辿るなりして
少女を探しだせるだろう

私はいつか描いている物語を
書き始めることにした
読書家の少女はまだ出てこない
彼女はそこで待っているのだ

空想上の街角で
日蝕や月蝕に私が疲れ
灯りを絶やしてしまったそのとき
私を正してくれるのだろう

だが私にはその少女の名前が分からない
彼女は私の描く世界で、私の本を読んでいる
それだけでいいのだ
それだけでいいなら

なぜ未来から来て私を抱きしめた
胸は苦しい、彼女は読書をしたいだけなら
どうして私を抱きしめたのだ
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by ren_with_parfait | 2017-04-12 19:47 | | Comments(0)