平凡になった

かくして私は平凡になった
いや、平凡というのは
飼うにはとても難解な生物だから
平凡を呼んだと言ってもいいだろう

かくして私は平凡を知った
いま、変人でないのは
飼うにはとても難解な自分自身を
平凡に近づけるための営みだろう

かくして愛憎を捨て
未練を去った
去ったと言っても去ってはくれない
去らぬと言っても去ってはいくのだ

愛憎は捨てども蘇る
なぜなら雪解け、梅に桜に新緑に
紫陽花の頃を通りぬけ
ぼうぼう燃えゆる太陽が
蜃気楼など起こした頃には
川なり山なりどこにあれども
花火がバンバン打ち上がり
浴衣姿を見かけた時には
誰ぞの浴衣が天使かなどと
それはあの子の他にない
思ってしまうは嘘でもないから

かくして私は平凡になった
いや、平凡というのは
飼うにはとても難解な生物だから
いっそ平凡を呼んだふりをして
奇人、変人を貫いたなら
誰かひとりの秀才になれようか

あゝ頬染めあげる季節のしぶきに
幻すらもが終ぞたくらむ夜が来たりては
平凡装う幸せを知るも
ただ心の在り処は暑きなり
鳴く蝉が咲うとしばし黙れよ本能の虫よ
何が善いのか正しいか
それを忘れて鳴らす羽音に宿れりは
人の音にて何をば求めんただ聴けり
求むるところはさして変わらぬ死人と我らよ
季節の大火の前ではもはや
両者に区別はありはせぬ
ただ求めよと生涯を、ただ極めよと道なき道を
祭りの黙するところがあれば
終える節知る凡庸なれど
節を忘れて踊り狂うも
異のようでも実は変わらぬ同じであるのだ
だから咲えよ咲える限り
その美しさに見惚れた姿が
貴女の心にいついつまでも炎を告げて
終わり訪れずに降らせるのだから
涙は必ずやってくる、だから咲えよ咲える限り
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by ren_with_parfait | 2017-05-29 01:50 | | Comments(0)